セミフォーマルな着物としてポピュラーなのが「訪問着」と「付け下げ」です。とは言っても、この2つは似ているようで違い、区別が難しい着物かも知れません。新しく購入するならどちらにするか、迷う方も多いでしょう。
今回はそんな2つの違いに付いてお伝えします。
目次
1.訪問着と付け下げの見た目の違い
①訪問着は裾や肩に「絵羽模様」があります。
これは縫い目があっても模様がつながるように仕立てたもので、「留袖」などでも使われる技法です。呉服店で販売される際も、模様の流れがはっきり分かるように、仮仕立てされているのが特徴と言えるでしょう。もちろん作業工程は複雑で手間暇掛るため、他の着物よりもお値段は高めの設定となります。
②付け下げは、もともと戦時下で華美を禁止された時に考案された着物です。
訪問着のような絵羽模様を入れないため、反物の状態で呉服店店頭に並びます。柄を縫い目で合わせたり、仮仕立てする必要もないので、訪問着に比べてお値段もリーズナブルと言えるでしょう。ただし柄付けは、裾や肩にあるため、見た目は訪問着にとても良く似ています。※柄はすべて上向きになるように仕立てられています。
2.着方のポイント
①訪問着は、昔は三つ紋を付けるのが一般的でしたが、現在は一つ紋でも無紋でもOKです。
紋の「有る」「無し」で、着物の格が変わることもありません。合わせる帯は、織りの袋帯を二重太鼓に締めて、格調高く装うのが定番となりますが、お若い方であれば袋帯を使って福良雀などにしても大丈夫です。着る場所や年齢によって帯結びを変えて、華やかに装いましょう。
②訪問着の場合は、紋があってもなくても着物の格に変化はありませんが、付け下げは違います。
背中に一つ紋を付けると訪問着と同格の準礼装になり、無紋であれば格が下がり準礼装となるのです。「留袖」に付ける紋は、染め抜きの正式な紋にしなくてはいけませんが、付け下げの場合は略式と言われる縫い紋を使っても大丈夫です。
「正式な場所に着ていく機会が多い」と感じた時は、背中に縫い紋を一つ刺繍しても良いし、縫い紋があったのに「もっとカジュアルに着てみたい」と思うなら、刺繍を外して無紋として下さい。セミフォーマルとして着たい場合は、袋帯を使って二重太鼓結びをしますが、もう少し簡略化したいなら、名古屋帯で一重太鼓にするのが一般的です。
3.着て行く場所を選びましょう
①訪問着なら、結婚式や様々な式典にふさわしい装いとなります。
またホテルでのパーティなどの場合は、主催者なら格式を考えて留袖か訪問着を選びましょう。もちろん柄は祝儀の模様である「吉祥模様」と呼ばれるものが中心となります。
お子様の卒業式や入学式といったイベントに訪問着を着る時は、主役はお子様ということを意識して、あっさりとした柄のものをチョイスするとバランスが良いですね。
②付け下げは、大仰しくしたくない時におすすめです。
例えばゲストで呼ばれたパーティなどは、訪問着では主賓と同格になってしまうと感じた時は、付け下げの方がしっくりします。
結婚式に招待された時も「平服で」と記載があった場合は要注意。小紋では少し軽くなりすぎて、相手に失礼となる場合もありますが、普通の結婚式と同じく留袖や訪問着では周りから浮いて「頑張りすぎている」と場違いになってしまうことも珍しくありません。そんな時も、付け下げならOKです。
4.あなたは「訪問着?」それとも「付け下げ?」
いかがでしたか?「結婚式披露宴などに着る着物を中心に考えたい」と思ったなら「訪問着」が良いですが、「もう少し色々なシチュエーションでも着られる着物が欲しい」というなら、付け下げも素敵です。どちらを選ぶかは、ご自分の生活スタイルを考えて、決めて下さいね。
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