実は「火事に強い」と言うのが「桐ダンス」。その実力と理由とは!

着物の収納に最適と言われるのが「桐ダンス」です。理由の大きなものは①湿気に強いのでカビやシミが出来にくい ②防虫効果がある ③燃え始める温度が他の木材よりも高いので、燃えにくい・・・となります。今回は「火事に強い桐ダンス」について、私の体験をもとにお伝えします。

1.友人の家が全焼しました

数年前の冬のことです。隣町に住んでいる友人の家が火事にあったと連絡が入りました。慌てて彼女の家に行くと、二階建てだった彼女の家は、柱だけが燃え残った状態。二階の床まで焼け落ち、全焼となっていたのです。お隣の方に聞くと彼女は家族全員で実家に行っているとの事でしたので、そのまま車で実家に向かいました。

気丈な彼女はいつもの通り「家族全員無事なので、何よりだったわ」と言ってくれました。でも少し話していくと「家は火災保険に入っているから大丈夫。でもアルバムも思い出も全部無くなってしまったの」「大切にしていた成人式の振袖も、娘の七五三の衣装もすべて燃えてしまった。写真すら残っていない。」と言い出して・・・掛ける言葉もなく、私はその場を後にしたのです。

 

2.奇跡は「桐ダンス」から生まれたのです!

火事から一ヶ月もした頃でしょうか。彼女から電話がありました。「着物が無事だったのよ!」と明るい声が聞こえてきます。「エッ、燃えたんじゃないの?」と思わず聞き直してしまいました。すると「焼け跡見たでしょう?その時、二階の柱の蔭に黒い塊があったの覚えている?」と言います。

思い出してみると、確かに二階の端にある柱の下の方に何かあったかも知れませんが・・・」。彼女の話では、それが「桐ダンス」だったとのことです。炎に包まれ、真っ黒になっていたので、彼女もすっかり燃えてしまったと思っていたとか。火事が収まり、消防の方が黒く焼け焦げた桐ダンスを持ってきてくれた時も、何も期待できなかったとの事です。

実際、引き出しをいじっても、消火水を含んで膨張した引き出しは、まったく動かないので、放っておくしかなかったとか。一ヶ月近く経って、やっと引き出しも動くようになったので、開けてみると、外は真っ黒でも引き出しの中は少しススが入っただけ・・・「もしかして」と思って中身を出してみると、たとう紙の中に入っていた着物や帯は無事だったと言います。

「面倒だと思って、たとう紙にも入れてなかった着物は、ススが付いて使い物にならないけれど、大切にたとう紙に入れた振袖や七五三の着物は、綺麗なまま。凄いでしょう!」との事です。これって、奇跡ですよね!

 

3.どうして桐のタンスの中は無事だったのか?

もともと桐の素材は、他の木材に比べて燃える温度が高いので、なかなか燃えないのです。それに加えて吸水性が高い。水分を吸収すると膨張して、引き出しも扉もパンパンになります。

梅雨の時期などは、桐のタンスが開きにくくなると言われているのは、このためで、空中にある水分を含んで膨張し、引き出しの中を密閉するので、着物保管に悪影響のある湿気被害を最小限度に食い止めるという特徴があるのです。

今回は桐のタンスが燃え始まらないうちに、消火水が沢山タンスに当たって桐が膨らみ、炎をシャットアウト。タンスの中に火が入らなかったので、中の着物や帯が燃えずに無事だったのでした。

もちろんタンスは見る影もなく、真っ黒で使い物になりませんが、中の品物は大丈夫だったなんて・・・昔からの言い伝えのとおり「桐ダンスが火事に強い」というのは、燃えにくいだけでなく、燃えても中のものは無事ということだったのですね。

 

4.まとめ

もちろん、火事を想定して桐のタンスを購入することはないですが、昔の人は色々な経験で桐ダンスを推奨したのかも知れません。そして「たとう紙保管」。ススは燃える前にタンスの中に入ってきてしまいますから、ススを避けるためには、常日頃からしっかり、たとう紙に入れて丁寧に扱うことが今回も着物を守ってくれるのに役だったようです。
桐のタンスとたとう紙は、着物保管の必須アイテムなのですね。

 

 

着物・メンテナス 着付けなどのご相談お近くの各店舗へお問合せください。またメールフォームでのお問合せも可能ですので、お気軽にご連絡ください。
こだわりの逸品物を当社社長が厳選して仕入れしております。そんな商品をお求めの方一度店舗へご来店頂ければと思います。

■着物いわこう 銀座店
 〒104-0061
  東京都中央区銀座7-16-3 日鐵木挽ビル1階
  TEL/FAX: 03-6264-1150
  営業時間:11:00〜19:00

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。