「腰紐は、縛るだけだから何でも良い・・・」そう思っていませんか?確かに腰紐はシンプルな作りですが、着物の着付けにはなくてはならない小物なのです。毎回使う小物だからこそ、こだわってみませんか?
着付けの必需品、腰紐についてお知らせします。
目次
1.腰紐はどんな時に使う?
腰紐は、その名の通り腰に結んで、着物の裾の長さを調整し、おはしょりを作ります。またウエストにも結んで、胸元が着崩れることを防ぐのです。その他にも長襦袢が長い場合や、帯で変わった結びをする時などに腰紐を仮締めとして使うこともあります。
そのため、腰紐は最低2本必要ですが、できれば3~4本あった方が便利と言われているのです。
2.腰紐の種類
腰紐にも素材が色々あります。素材によってメリット・デメリットがありますから、自分に合った腰紐を選んで下さい。
ただし「毛」なので、ウールのセーターやコートと同じく、虫に食われやすいという欠点があります。保管の際は、防虫剤を一緒にしておくと安心です。また、正絹の着物と一緒にしておくと、着物まで虫食いにあう可能性がありますから、別々に収納することをおすすめします①モスリン・・・
「モスリン」は、あまり聞きなれない名前かも知れませんが、これは羊毛の平織物となります。しっかり締まり、お値段もリーズナブルなことから、一番人気でポピュラーな腰紐と言えるでしょう。
扱いが簡単なのも「モスリン」の特徴です。汚れたと感じたら、お洒落着洗い専用の洗剤で洗って自宅で洗えますし、脱水後そのままアイロンを掛けてもOK。特に難しいメンテナンスは必要ありません。
また、腰紐は着物が緩まないようにギュッと締めますので、場合によっては着物を摩擦で傷める危険もあります。頻繁に着るお気に入りの着物には、注意が必要です
②絹(シルク)・・・
絹の腰紐は、着物を傷めることもないので、安心して使えます。シルクですから、簡単に洗ったりアイロンを掛けるのは出来ませんが、モスリンのように「虫食い」にあうことは少ないのです。防虫剤を使う必要もないし、他の着物と一緒にタンスに仕舞っても問題ありません。
ただし「しっかり締まる」という事に関しては、モスリンの方が上です。また、モスリンの腰紐が1本100~150円程度なのに、絹の腰紐は1本1,000円以上します。使い勝手や費用を考えると、絹の腰紐は上級者向きと言えるでしょう
③化繊・・・
レーヨンやポリエステルが素材の腰紐です。何と言っても安いのが魅力でしょう。シワにもなりにくいし、洗濯もOK。アイロンも低温モードを使えば、何の問題もありません。もちろん、虫食いの心配もなし。
良いことだらけとも思いますが、機能面では難しいと言われています。化繊の腰紐は、ツルツルしていて滑りやすいので、縛っても緩みやすいのです。腰紐が緩むと、着崩れにつながりますから要注意。化繊の腰紐は、帯の仮締めには使えても、長襦袢や着物を着る時には不向きと言われています
④ゴム・・・ゴムベルトとも言います。
腰紐をしっかり縛ると、苦しくなるという方も少なくありません。そんな方におすすめなのは「ゴムの腰紐」です。圧迫感も少ないので、楽に着物が着られます。使う際は、金具が付いているので、ご自分の体に合わせて調整をしましょう。
体に優しいゴム紐は、裾などを踏んでしまうと、おはしょりが緩んでしまい、裾が長くなってしまうのです。裾が長くなると、更に裾を踏みやすくなり、結果転んでしまうこともあります。裾が長くなることは危険ですから、注意して下さい。
またゴムは長く使っていると劣化します。劣化したゴム紐は何の役にも立ちませんから、定期的に機能チェックをして、怪しいと感じたら新しいものを用意しましょう。
3.まとめ
着付けの際は、「腰紐」の他にも「胸紐」や「仮紐」と呼ぶ「紐」がありますが、使い方が変わるだけで、全部同じ「腰紐」です。同じ種類の腰紐を数本揃えるのも良いですが、機能に合わせて腰紐の種類を変えるのも、おもしろいかも知れません。
まずは着物屋さんに相談してみましょう。