最近は真夏でも結婚式などが行われるようになりました。せっかくだから着物で参列したいという方も多いでしょう。でも着物には格があり、結婚式ではフォーマル又はセミフォーマルなもので装わなければいけません。7月や8月だけ着られるという「薄物」の正装についてお知らせしましょう。
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【盛夏の定番の礼装といったら絽(ろ)】
絽は、何本かの縦糸を撚り合わせたところに横糸を入れて織った織物で、絽目という隙間があります。この絽にが透け感があり、見た目も涼しいことから、夏の定番の装いなのです。
「この着物が絽かどうか分からない」と思ったら、着物に手を入れてみて下さい。ストライプの糸が透けていたら「絽の着物」と思っても大丈夫でしょう。
絽は夏のフォーマルな席、例えば結婚式にも着ていける定番の礼装なのです。留袖、訪問着、色無地など好みの着物に染めて真夏に着物を着て行くのもお洒落ですね。
【紗(しゃ)はセミフォーマル又はカジュアルタイプ】
絽よりも更に透け感のある着物が紗になります。着られる時期も絽が7月~8月と2ヶ月間着られることに対して、紗は7月下旬から8月上旬(立秋の頃)までと言われる程短いので、贅沢な着物と言えるでしょう。
ただし近年は暑さが長く厳しいので、8月下旬までは着ていても大丈夫と言われています。
柄によってはセミフォーマルとしても装えますので、結婚式ならお呼ばれした側ならOKですが、主催者側なら難しいですね。注意して下さい。
【薄物に合わせる小物】
○帯・・・薄物に合わせる定番の帯といったら「羅」や「絽綴」「絽唐織」などがあります。どれも涼しい雰囲気があるので正統派の組み合わせと言えるでしょう。
○帯締め・・・夏用なら高麗組(こうらいぐみ)などの細めの帯締めがおすすめです。フォーマルな席に合わせるなら透けるレース系の帯締めよりもしっかりと締められる格のあるものを選びましょう。
帯が凹凸ある場合は、帯締めで帯が摺れてしまうことがあります。帯締めは、帯を傷めない滑らかなタイプなら安心です。
○半衿や帯揚げ・・・どちらも基本は絽縮緬がフォーマルには適しています。半衿は白色が原則ですが、帯揚げはホスト側なら白、ゲスト側なら白の他淡いさわやかな色を選んで下さい。刺繍は印象が重くなるので、白刺繍程度にとどめたものが無難です。
【実は袷でもOKとなった礼装】
結婚式会場や披露宴を行うホテルなどは、冷房も寒いくらい効いているのが一般的となってきました。それに伴い花嫁衣装も春夏秋冬一年を通して袷の衣裳を着るようになってきたようです。そして新郎新婦の母親や仲人など黒留袖も袷を着ることが普通となってきました。
もちろん絽の黒留袖を持っている方は、そちらを着たくなるものです。問題は親族の集合写真。結婚式の後、両家の集合写真を撮る場合がありますね。絽の着物も透け感は品物によって違い、黒の場合はそれが顕著に表れるのです。写真を撮った時に、一人だけ下に着た白の長襦袢が透けて見えたら意外と恥ずかしいもの。絽の留袖を着たいなら一度事前に写真を撮って透け感をチェックしてみましょう。
【伊達衿(重ね衿)はどうするの?】
伊達衿は着物を二枚に重ねたように見せるものです。袷の礼装の場合は必需品ですが、夏の礼装の場合は暑苦しい印象となりますから、薄物を着た時には付けないのが普通です。
衿元胸元は、スッキリさせ、涼しい雰囲気を心がけましょう。
盛夏の装いは、白を基調とするのがポイントです。着物や帯、帯揚げや小物にも白を効果的に使って、まとめるとスッキリします。もちろんフォーマルな席に参列するなら格も重要ですが、滅多に着ない夏の着物はコーディネイトも難しいかも知れません。そんな時は呉服店や着物屋さんに相談しましょう。安心して着物を着ることが出来ますよ。