「着物のクリーニングは専門家にお願いする」という方も多いでしょう。確かに高級な正絹の着物を自宅で洗うのは危険です。表地と裏地にズレが出たり、色落ちしたり、大幅に縮んだり、輪ジミが出たり・・・自分で洗濯した結果、着られない着物になってしまう可能性もあるからです。 でも浴衣は自宅で簡単に洗うことができます。汗をかきやすい夏に着る浴衣だからこそ、自分で洗ってみませんか?
目次
1.浴衣を洗う前にチェックしましょう
プレタポルテの浴衣なら、衿の付け根あたりに「取り扱い表示」のタグが付いています。素材の他、手洗いやアイロンがOKかどうかは、ここをチェックすれば良いのですが、手作りの浴衣の場合はこの表示タグがありません。 購入した時に、お店の方に「素材」と「自宅で洗濯できるかどうか」を確認して下さい。素材が「木綿」「化繊(ポリエステル)等」や、これらの混合なら大丈夫です。「麻」が入っている場合は、縮む可能性が高いので、注意して下さい。また「絞り」が入った浴衣は、自宅で手軽に洗うと絞りが取れてしまいますから、必ず専門店に出しましょう。
2.浴衣洗濯のチェックポイント
中性洗剤を使う
洗剤は、市販の「お洒落着洗濯用」を使います。普通の洗濯用洗剤はアルカリ性の製品が多いのです。アルカリ性洗剤は洗浄力は強いのですが、色落ちしやすいので、浴衣の洗濯には不向きと言われています。お洒落着用の洗剤なら中性ですから、色落ちも比較的少なく、生地にも優しいのでおすすめです。
洗濯の温度も要注意
一般に「ぬるま湯で洗った方が汚れは落ちる」と言われています。確かに水よりもお湯の方が洗剤も溶けやすいし、皮脂も取れやすいのですが、浴衣を洗う時はNGです。お湯で洗うと、色落ちだけでなく、縮みの原因にもなりますから、必ず水で洗濯しましょう。
つけ置き洗いも駄目
「20~30分洗剤につけて置く」という、「つけ置き洗い」も、浴衣の場合は、おすすめ出来ません。長時間つけて置くと、色落ちだけでなく、模様がにじんでしまう可能性があるからです。 にじんだ染料は、白い模様のところに付いて色移ししてしまう場合もあります。そうなったら、せっかくの浴衣の模様も台無しです。つけ置き洗いは避けて下さい。
大き目の洗濯ネットを活用
浴衣をきちんと畳んだら、大き目の洗濯専用ネットにいれて、押し洗いをしましょう。大き目のタライか洗面台に水を張って洗剤を溶かしてから、ネットに入った浴衣を入れます。そして上から手で何回か押し洗いをしたら、また水を張り直してすすいで、しっかり洗剤を落として下さい。
3.洗濯が終わったら、素早く干しましょう
洗濯機で脱水
脱水時間の目安は30~60秒、洗濯ネットに入れたまま行います。「洗ったらネットに入れて脱水」と言われますが、初心者が濡れた状態の浴衣を綺麗に畳むのは難しいものですから、最初からネットに入れたまま洗濯をすることをおすすめします。※脱水しないまま干すと、乾くのに時間が掛りますし、重いまま干すので型崩れの原因にもなります。必ず短時間脱水をして下さい。
風通しの良い場所で干す
脱水が終わったら、すぐに干しましょう。着物ハンガーや洗濯棹を使って、できるだけ広げて干します。風通しの良い場所で陰干できれば、一番良いですが、難しいなら扇風機などを利用しても良いかも知れません。 直射日光に当たると、変色してしまう可能性が高いので要注意です。特に青色や紫色は日光で色褪せしやすいので、2~3時間以上干すのは止めて下さい。
4.まとめ
浴衣も着る都度洗濯する必要はありません。2~3回着た後、もしくは沢山汗をかいた時などに洗濯するのが良いでしょう。頻繁に洗濯すると、どうしても色落ちするので、毎回洗濯しなくても大丈夫です。 また大切なお気に入りの浴衣なら、シーズン終了後は、専門店に出して下さい。戻ってきたら、たとう紙などに包んで湿気の少ない場所に保管しましょう。