不祝儀の着物、色喪服。悲しみによりそう装いです


通夜や法事、偲ぶ会などに着る黒以外の着物を色喪服と呼びます。不祝儀の着物として様々なシチュエーションで着ることが出来ますが、着るにあたってはちょっとしたマナーが必要です。悲しみを表す装いの色喪服についてお知らせ致します。

【色喪服とは】

黒喪服は、染め抜き日向紋と言われる正装用の五つ紋が入ったもので、喪の第一礼装の着物です。帯揚げや帯締め、バッグや草履も黒色でまとめます。対して色喪服は特別な着物ではありません。それなりの条件に合えば、色喪服として着用出来るのです。

まずは「色」と「柄」。色喪服として使えるのは、黒以外のグレーや紫、茶色や濃紺、深緑といった落ち着いた寒色系の色でなければなりません。光沢の無い無地か、地紋があっても雲や霧、波や墨流しがふさわしく、花であれば菊や水連などが良いと言われています。吉祥文様などは祝儀の意味があるので、避けましょう。また江戸小紋も「鮫(さめ)」「角通し(かくとおし)」「行儀(ぎょうぎ)」など格が高い柄なら、不祝儀の着物として着る事が出来ます。

正装となる黒喪服は五つ紋が原則ですが、色喪服は準礼装扱いとなりますので、紋は一つか三つにとどめなくてはいけません。※紋はすべて正式な日向紋となります。

【色喪服を着る時】

喪主や遺族は、葬儀・告別式はもちろん、通夜も黒喪服で弔問客をお迎えします。一般会葬者も葬儀・告別式は黒喪服でなければ失礼にあたりますが、通夜は違うので注意しましょう。

突然の通夜で弔問客が黒喪服で伺うのは「用意周到」という印象になるので、避けて下さい。弔問の際は色喪服に黒喪帯か色喪帯を合わせます。黒喪服を着る場合は、帯は色喪帯(色共帯とも言います。色は色喪服と同じく地味な寒色系です。)を使い、準礼装としましょう。

四十九日の法要は、近親者は黒喪服か黒喪服に色喪帯、又は色喪服に黒喪帯を締めます。招待客の場合は、色喪服に色喪帯を使うのが一般的です。近親者よりも格上にならないような気配りが必要と言われていますので、注意しましょう。
喪服の格付けとしては黒喪服に黒喪帯が一番上で、次に黒喪服に色喪帯、色喪服に黒喪帯、色喪服と色喪帯という順番になります。

以前は、三回忌法要までの親族の装いは黒喪服と言われていましたが、最近は都心を中心に変化してきました。格を下げてきていると言っても良いでしょう、一周忌法要は黒喪服でも三回忌となると身内だけの法要とする家族も多いので、第一礼装の黒喪服という方は少なくなってきています。

偲ぶ会に参列する場合は、色喪服も喪の色を薄くします。地味な色無地だけでなく小さめの飛び柄の小紋でもOKです。黒喪帯を締めると重すぎる印象となりますから、金銀を使っていない控え目な色柄の帯を選んで下さい。草履やバッグも同じく、黒以外のシックなタイプのものの方が無難です。

【色喪服を着る時に注意すること】

黒喪服を着る時も同じですが、半衿や長襦袢、足袋は白色で飾りのないシンプルなものを合わせます。正装や準礼装とは言っても、伊達衿は使いません。

黒喪服の場合はもちろんですが、色喪服の時も殺生を連想させる本革の草履やバッグは出来るだけ避けてください。草履の台も華やかな高台のものよりも、低いタイプが良いでしょう。

次に帯です。黒留袖や訪問着といった正装の場合は袋帯を使い二重太鼓結びにしますが、不祝儀の場合は別です。二重太鼓は「不幸が重なる」という意味にもつながりやすいので、名古屋帯を使っての一重太鼓結びでも良いと言われています。特に関東地域では、名古屋帯が主流となっているようです。

洋装化が進んだ現代、葬儀・告別式も洋服の方が増えてきました。とはいっても喪の装いは地方によって大きく変わります。その地域や親族の決まりごとを大切にしながら、礼をつくし、悲しみによりそう装いとなるように心がけましょう。

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