同窓会やパーティなど友人・知人が集まって楽しむ時は、お食事は付き物です。話に夢中になって、食べ物を落としたり、飲み物をこぼしてしまうこともあります。洋服の時なら「急いで水で洗う」という方も多いでしょうが、着物の場合はNG。
不用意に水で洗ったりするのはもちろん、タオルを濡らして拭いたりするのも危険です。慌てず騒がず、まずは何の汚れなのか見極めてから、応急処置をしましょう。
目次
1.水溶性の汚れの場合
ジュースや珈琲、紅茶、しょうゆは水溶性の汚れとなります。そば汁やアルコールも同じです。これらは、水に溶けやすいという特性があります。
着物にこぼしてしまったら、まずはティッシュやハンカチ、タオルで水分を拭き取ります。その際、絶対にこすらないで下さい。特に「振袖」や「訪問着」「付け下げ」などフォーマル用の着物は、素材が正絹のものも多いのです。正絹は大変デリケートなものですから、注意しましょう。
次に「乾いたタオル」を用意します。ない場合は、ティッシュを何枚か重ねてもOKです。そして次に濡らした後固く絞ったタオルを用意します。できれば、白系のものが良いでしょう。汚した箇所の着物の裏側に乾いたタオルを当てて、表側から濡れたタオルで押さえます。こすらない様に叩くのも良いでしょう。
この作業を何回か繰り返すことで、汚れがタオルに移り、着物の汚れは目立たなくなります。
ビショビショのタオルで押さえると、和ジミになる可能性もありますし、色柄付きのタオルでは、タオルの色が着物に付いてしまう場合もありますから、注意しましょう。
2.油性の汚れの場合
チョコレートやケーキクリームなどの他、口紅やファンデーションも油性の汚れです。着物に落としてしまった時、「何もしない方が良い」と思うかも知れませんが、そのままにしておくと、うっかり他を触って飛び火(汚れが広がること)してしまう可能性もあります。
そうならない為にも、汚れが他に移らないように処置をして下さい。 まずは固形物が残っている場合は、ティッシュなどでつまみ取るようにして、取り除きます。
汚れ物が残らないように、ティッシュも新しいものと交換しながら作業して下さい。もちろん、擦って生地を傷めることのないよう、気を付けます。 次に汚れた箇所の裏側に乾いたハンカチを当てます。汚れ物が残っていないか確認して、念のためにティッシュで押さえます。
汚れが目立つ場合は、タオルを濡らして、裏側のハンカチに汚れを移し取るように押さえます。 最後に濡れた表面を乾かすように、乾いたタオルで水分を移し取ります。湿り気がなくなればOKです。
3.たんぱく質系の汚れの場合
牛乳や肉汁、卵や血液などは、たんぱく質系のため、熱を加えてはいけません。熱により凝固して、専門家でも扱いが難しくなるからです。水で濡らして叩いた後は、乾いたタオルなどで押さえるにとどめましょう。
焦ってドライヤーを使うのはもちろん、手で温めて乾かすのもNG。
やってはいけません。
4.まとめ
取りあえず応急処置をした後は、急いで専門家に相談しましょう。
着物クリーニング専門店や悉皆屋、呉服店でもOKです。
「汚れ」も放置しておくと、やがて「シミ」となって、元に戻りにくくなります。
目安は1週間以内です。もちろん、何の汚れなのかお店に伝えて下さい。
またアルコール類は揮発性が高いので、家に帰る頃にはどこを汚したか分からなくなってしまうことも多いので気をつけましょう。
汚れが見えないからといって、汚れがなくなった訳ではありません。
放っておくと、後々シミとなって浮き上がってきますから注意して下さい。
できれば、まだ濡れているうちにスマホで写真など撮って、どこを汚したか記録に残しておいてから、専門家に持って行って下さい。