普段着の着物「ウール」とは?

普段着の着物と言われるウール。最近は着物が特別な装いとなったためか、着る人も減ってきました。知っているようで知らない「ウールの着物」についてお知らせします。

ウールとは

ウールは羊毛、つまり羊の毛織り物です。洋服の素材の方が身近かも知れません。実はウールの着物の歴史は浅く、昭和の頃です。当時着物は日常着として着られていました。とは言っても、着物は昔ながらの機織りで織られていたのです。 それが洋服のウール機織りで作られることになってから、他の着物よりも簡単に作られるということでリーズナブルなウールの着物は一斉を風靡しました。特に羽織と合わせたアンサンブルは、お正月の衣装として人気となっていたのです。

ウールの特徴は

普段着の着物と言えば木綿などもポピュラーな素材ですが、ウールは木綿よりもシワになりにくく、暖かいと言われています。ウールは基本的には単衣(ひとえ)で仕立てられますが、着る期間は盛夏を除く春そして秋・冬と3シーズンに渡ってOKと言われています。一般的に単衣の着物は初夏や初秋といった時期にだけ着ますから、3シーズン着られるウールは本当に便利。 とは言っても、同じ着物を3シーズン着るという訳ではありません。厚手のウール生地なら晩秋や冬の寒い時期に着て、気温が高い時はサマーウールと呼ばれる薄いタイプとなります。ウールが単衣仕立てが多い理由は、家庭で修復や仕立て直しが簡単に出来るからのようです。それほど人々の身近にある着物がウールなのでしょう。

コーディネイト

普段着の着物ですから、帯は木綿やウール、化繊の「名古屋帯」か「半幅帯」が良いでしょう。もちろん正絹でもOKです。上品な名古屋帯なら一重太鼓結びで、お出かけ着にもなりますし、半幅帯を使っての銀座結びや割角出し、文庫結びならお友達とのちょっとした集まりにも着て行けます。 長襦袢や帯締め、帯揚げはカジュアルタイプを選びます。履物は台の低い草履でも良いですが、下駄でも大丈夫。帯留めも雰囲気に合わせたものを使って、個性的に装うのも楽しいものです。

ウールの取り扱い

ウールは正絹と違い水や汚れに強いし、単衣仕立てなので自宅で洗うことも可能です。ただし虫には食われやすいので、その点は注意が必要となります。防虫剤を入れて保管するのはもちろんですが、そもそも汗や汚れが付いたままタンスに仕舞うのは避けましょう。中性の洗濯洗剤(お洒落着用洗剤)を使って洗うか、着物専門のクリーニングに出します。 またタンスに入れる際も正絹などの素材と一緒に入れてはいけません。正絹は虫食いに強い着物ですが、ウールと一緒だと虫が付いてしまうからです。一緒にするなら同じウールの着物や帯、もしくは木綿の着物などで、同じ引き出しにまとめ、タンスの一番下の段に仕舞います。 防虫剤は色々な種類を混ぜると化学反応をおこす可能性があるので注意が必要です。昔からある樟脳(しょうのう)やナフタリン、パラジクロロベンゼン系は一度使ったら、交換する時も同じものを使って下さい。ただしエンペントリン系のものは、他の防虫剤と併用してもOKです。※樟脳・ナフタリン・パラジクロロベンゼンは独特の強い臭いがありますが、エンペントリン系は無臭

最近のウール

一時の人気はありませんが、今でもその着心地の良さやお求めやすい価格からファンが多いのがウールの着物です。国内最高峰と言われているのは着物の本場の「西陣ウール」。先染め・後染め両方ある「浜松ウール」や絹糸を織り混ぜたしっとりとした質感が人気の「三勝染シルクウール」などがあります。 カジュアルな着物ライフを楽しむなら、木綿も良いですがウールも見逃せません。何と言ってもデニムのような気軽さが魅力なのです。洋服感覚で着てみては如何でしょうか?
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